ブロードバンド回線とは(NTTのフレッツとイーアクセス)~アナリスト・島田雄貴(2001年10月)

通信ジャーナリストの島田雄貴が、NTTのフレッツやイーアクセス、ソフトバンクのADSLなどのブロードバンド事情を紹介します。

ブロードバンドとは

速度20倍以上

ブロードバンド回線とは「高速なインターネット常時接続回線」の総称だ。従来のダイヤルアップ接続やISDNと比べてケタ違いに通信速度が速いことはご存じだろう。例えば、56kbps(毎秒5万6000ビット)のモデムと比べると、1.5Mbps(1500kbps)のフレッツADSLやイーアクセスの速度は20倍以上だ。

料金が定額制

見落としがちだが、速度のほかにもう一つメリットがある。通信料金が定額制という点だ。ダイヤルアップ接続ではインターネット・接続サービス・プロバイダー(ISP)が定額制でも、NTTなどの電話料金は別。テレホーダイなどの例外もあるが、接続時間によって課金される「従量制」が普通だ。

プロバイダーも定額

KDDIやイー・アクセス、NTT、ソフトバンクなどのブロードバンド回線を導入すれば、もはや接続時間を気にする必要はない。プロバイダー(ISP)料金も通信料金も月額いくらの定額制なので、“つなぎっぱなし”でも一定額以上はかからない。

回線を切断する必要がない

ダイヤルアップ接続で通信料金を気にする人は、例えばメールなら、受信→回線を切断→読む→返事を書く→回線を接続→送信、といった面倒を繰り返していたはずだ。定額制でつなぎっぱなしなら、受信→読む→返事を書く→送信、で済む。Webページの長い文章を読むときも、回線を切断する必要はない。地図・路線やテレビ番組表、動画などのサイトにも、必要なときにすぐアクセスできる。

社内LANのような状態

ブロードバンド回線の通信料金が定額制なのは、“電話”と違うからだ。むしろ社内LAN(ネットワーク)などに近く、回線自体は常に接続状態になっている。接続するためにパソコンから電話をかけることはなく、常時接続回線を通じてプロバイダーの認証手続きを行うだけだ。従って、プロバイダーが話し中にもならない。

料金、速度、提供エリアを比較

現在、導入できる主なブロードバンド回線はイー・アクセスやソフトバンクなどのADSL、CATV、NTTや有線ブロードのFTTH(光ファイバー)、FWA(無線)の4つ。料金、速度、提供エリアなどについて、簡単に比較した。

データ信号を音声信号と一緒に流す

ADSLは通常のアナログ電話回線に、高い周波数のデータ信号を音声信号と一緒に流す技術だ。同時に流れている2種類の信号をスプリッターと呼ばれる機器で分離する方式なので、インターネットを使いながら電話も使える。

NTTの設備を借りてサービス

電話回線はNTTのものを使うが、イー・アクセスのように、それを借りてサービス展開するADSL事業者も多数ある。ADSLの難点は、NTT収容局(電話局)から離れるほど通信速度が低下すること。離れすぎていると、事業者に申し込んでも使えない旨、通達される。

CATVインターネット

CATVインターネットは、ケーブルテレビ(CATV)の専用ケーブルにインターネットのデータ信号を流す方法だ。基本的にはテレビの視聴を申し込み、インターネット接続をオプションで追加する形になる。

光ファイバーなら最大100Mbps

FTTHは専用の光ファイバーケーブルを家庭内に引き込む。速度は最大で100Mbpsと群を抜いて速い。ただし、提供エリアが大都市の一部に限られるのが難点だ。

FWAは無線

FWAは基地局と電波で通信する方式で、家庭内に受信機を設置する。提供エリアは狭いが、CATVやFTTHの専用ケーブルが引き込めなかったり、距離などの問題でADSLが使えないユーザーに向いている。

ADSLだけが格安の数千円

通信速度は事業者によって異なるが、FTTHを除けばどれも数百kbpsから数Mbpsだ。月額料金はどれも5000円前後。初期費用は、イー・アクセスなどのADSLだけが数千円で、ほかは1万~3万円強かかる。FTTHとFWAはサービス地域がかなり限られるので、現実的にはADSLとCATVが有力候補となるだろう。

ADSLの初期費用が安いのは既存の電話回線を使うためだ。専用ケーブルを一般家庭に引くにはコストがかかる。このため、事業者設備から家庭までの距離を業界では「ラストワンマイル」と呼んでいる。イー・アクセスのようなADSLはラストワンマイルを一番賢く乗り越えたサービスだ。

アナログ回線の技術

なお、ADSLはISDN回線では使えない。アナログ回線の技術なので、NTT収容局とユーザー宅では、ISDNとは別の設備が必要となる。ちなみにISDN回線もアナログ(ADSL)回線も、ユーザー宅に引かれているケーブルは同じメタル線(銅線)だ。NTT収容局やユーザー宅の設備を変えているだけだ。

電源コンセントから接続
衛星インターネット

ラストワンマイルへの取り組みは、以上の4種類だけではない。既にサービスを終了させているが、「Mega Wave」(法人向けはまだある)や「PerfecPC」といった衛星インターネットもラストワンマイル候補の一つだったといえる。そして近い未来、新しい技術として期待されているのが電灯線インターネット。電力供給に使われている電灯線にデータを流そうというものだ。これが実現すれば、家庭用の電源コンセントがまさにブロードバンドへの入り口になる。

家電製品が発するノイズの影響

とはいっても、法改正が必要だったり、ほかの家電製品が発するノイズの影響などクリアすべき問題があり、今日、明日に実現されるものでもない。今はADSL、CATV、FTTH、FWAの4つが現実解といえる。

エリアを確認する

ブロードバンド選びのポイントは、一にも二にも提供エリアだ。いくら安くて高速でも、サービス地域外では絵に描いた餅。ADSL、CATV、FTTH(光ファイバー)、FWA(無線)について、事業者一覧を掲載したので、まずは提供エリアのご確認を。

エリア調べは詳細に

ADSLとCATVはほぼ全国にサービスが展開されている。都心部などでは、FTTHやFWAが選べる人もいるだろう。しかし、居住地が提供エリアの都道府県や市区町村に該当しても、安心するのはまだ早い。ADSLの場合は電話番号によるチェック、CATVでは自分の住所が該当するかを事業者に電話などで確認する必要がある。FTTHとFWAでも住所確認が必要だ。

提供エリアは電話番号で区分け

ADSLは既存の電話回線を利用するため、提供エリアは電話番号で区分けされている。この電話番号区分は必ずしも行政区域とは一致しないので注意が必要だ。NTTの収容局によっては、隣接する行政区域にまたがっている。

提供エリアをチェックできるWebサイト

このため、ソフトバンクやイー・アクセスなどほとんどのADSL事業者が、電話番号を入力して提供エリアをチェックできるWebサイトを設けている。

大都市や県庁所在地からサービスを展開

回線事業者は需要の見込めそうな地域、人口が多い大都市や県庁所在地からサービスを展開していく。特に、FTTHやCATV、FWAなどラストワンマイルの設備投資が大きいサービスは、ADSLと比べて事業者ごとの提供エリアが狭い傾向がある。

大都市や県庁所在地からサービスを展開
このため、市の名前が提供エリアにあっても、市内全域でサービス展開しているとは限らない。また、近隣の市区町村まで提供エリアを拡大していることもある。取りあえず提供していそうな事業者は、電話やWebサイトなどで確認することだ。

フレッツISDNは定額制

どの提供エリアにも該当しない場合は、現時点ではあきらめるしかない。とはいえ、もしフレッツ・ISDNの提供エリアなら、それに申し込むのが次善の策だ。64kbpsでは少々物足りないが、通信料金は定額制だ。

ブロードバンド回線が突然来なくなる

ブロードバンドの選択肢が一種類しかない人は、迷わずそれに申し込むことをお勧めする。事業者の展開計画はあくまでも予定。ブロードバンド市場は競争激化で予断を許さないのが現状だ。来ると思っていたブロードバンド回線が突然来なくなることも十分起こり得る。

フレッツ光がおすすめ

次に、いくつか選択肢がある場合だが、まずはNTTのフレッツ光などのFTTH(光ファイバー)。もし提供エリア内で、かつ料金や導入までの日数(1~2カ月程度)に折り合いがつけば、迷わずこれを導入したい。現在のコンテンツでは100Mbpsという速度をもて余すかもしれないが、将来性はピカイチだ。

ソフトバンクのヤフーBBもエリアを急拡大中

ADSLとCATVはそれぞれのメリット、デメリットをしっかりと把握したい。というのも、この二つは提供エリアが重なる可能性が非常に高い。CATV事業者は300社近くでほぼ全国をカバーしている。ADSLも急速にエリア拡大が進み、フレッツADSLは年内にも全市制都市をカバーする予定。イーアクセスやソフトバンクのヤフーBBもエリアを急拡大中だ。

インターネットだけが目的ならばADSL
格安電話もかけたいならCATV

簡単に結論を言えば、インターネットだけが目的ならばADSLがお薦め。有線テレビも見たい、格安電話(CATV事業者が提供)もかけたい、さらにはインターネットも、と複合的な目的ならCATVがよいだろう。

ゲーム、チャット、TV電話が使えないCATVも

CATVは本格的なインターネット利用では不便な点がいくつかある。プライベートIPアドレスを付与するCATV事業者があるため、ネットワークゲーム、チャット、TV電話など、ブロードバンドで期待されるアプリケーションが利用できない可能性があるのだ。

プライベートIPアドレスとは

プライベートIPアドレスは社内LANと同じような仕組みで、複数の加入者がルーターを介して間接的にインターネットに接続するため、グローバルIPアドレスによる直接的な接続を必要とするアプリは使えない。また、セキュリティが甘いと、同じルーター(事業者設備)内にあるほかの利用者の共有フォルダーなどが見えてしまうこともある。

複数台のパソコンなら追加料金

ブロードバンドルーターなどを使って複数台のパソコンから同時にインターネットに接続する場合に、追加料金が必要となる事業者が多いのもCATVのデメリットだ。

ADSLはグローバルIPアドレス

一方のADSLは、ダイヤルアップ接続と同様に、プロバイダーに接続するごとに動的なグローバルIPアドレスが付与されるため、利用可能なアプリケーションの制限はない。複数台の同時接続で別料金を取られる心配もまずないと言ってよいだろう。しかし、ADSL特有の技術的な不安要素がある。特に収容局からの距離が遠いと速度が低下するという問題、アナログ回線でしか使えない点だ。また、収容局からユーザー宅までの電話回線が一部でも光ファイバー化されていると、ADSLは利用できない。

無線は住宅事情の救世主

最後に無線インターネット。これが選択できるユーザーは幸せかもしれない。FWA事業者の数はFTTHよりは多いものの、ADSLと比べて圧倒的に少ない。しかしFWAにはADSL、CATV、FTTHなどの弱点を補う特徴がある。

光ファイバー化のためにADSLを断念したユーザー

受信機のアンテナを見晴しの良いところに設置するだけでよく、ケーブルが不要な点だ。集合住宅でCATVやFTTHのケーブル引き込みが難しいと言われたユーザーにとっては十分試してみる価値がある。収容局からの距離や光ファイバー化のためにADSLを断念したユーザーにとっても救世主だろう。

ADSL選びのカンどころ

ADSLは“回線を選べる”ため、少々分かりにくい。総務省(旧郵政省)の「加入者回線開放」政策でNTT以外の回線事業者が参入し、プロバイダー(ISP)事業と絡めたサービス形態が複数あるからだ。ADSLでは「回線」と「ISP(プロバイダー)」の事業を分けて考えるとよい。国内のADSLサービス形態は、大きく3つある。

<イー・アクセスのADSLのメリット・デメリット>
メリット既存の電話回線を使うので初期費用が安い
ISPを選べる事業者が多い
集合住宅でも使えるケースが多い
モデムを選択できる事業者もある
デメリット×収容局から離れると速度が落ちる
×一部でも光ファイバー化された回線があると利用不可
×隣人のISDN回線で速度低下の恐れがある

※イー・アクセスのADSLのメリット、デメリット(島田雄貴まとめ)

ソフトバンクがイー・アクセスを提訴:2002年8月、島田雄貴レポート

ADSLの主導権争いをめぐるソフトバンクとイー・アクセスの対立について、ジャーナリスト島田雄貴の報告です。

孫正義氏が東京地裁に提訴 イー・アクセス役員個人に3億円の賠償請求(2002年8月)

訴権濫用事件

ソフトバンクグループでADSL(非対称デジタル加入者線)サービス「ヤフーBB」を提供するビー・ビー・テクノロジー(BBT、社長・孫正義氏、東京都中央区)は27日、社団法人情報通信技術委員会(TTC)のADSL標準化作業部会で委員長を務める小畑氏(イー・アクセス取締役)が営業妨害行為を継続的に行っているとして、営業妨害行為停止の仮執行と3億円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。

高速ADSL規格めぐり

ソフトバンク及びヤフーBBの主張は、ヤフーBBで採用されている高速ADSL規格について、小畑氏が公正な立場が求められる委員長の地位にありながら、実際の性能に当てはまらないデータを用いてヤフーBBの信号の減衰が著しいと発言。それによって営業活動に深刻な打撃を受けたというもの。同日、都内で記者会見したヤフーBBの孫社長は、「(営業妨害行為によって)ヤフーBBへの入会をためらう人が少なからず出た」と損害賠償の請求に至った理由を説明した。

イー社のコメント

これに対し、イー・アクセスでは、「訴状を直接受け取っていないので詳細が分からないが、とても根拠のある請求とは思えない」としている。

実質的にイー・アクセスの完全勝訴

その後、2003年4月、ソフトバンクは突如、一方的に訴えを取り下げた。これは、イーアクセスの小畑氏の主張を全面的に認めたのと等しく、実質的にイー・アクセスの完全勝訴となった。

ソフトバンク 業界に対決姿勢 12メガADSLで思惑錯綜(2002年8月)

実験データ示さず議論先送り 先行譲れぬ事情も

最大毎秒12メガ(1メガは100万)ビットの高速ADSL(非対称デジタル加入者線)サービスで、ソフトバンクが業界や行政への対決色を強めている。 独自の高速化技術に電磁波漏洩(ろうえい)の恐れがあるとして“業界標準”に認められないのは「足を引っ張られている」(孫正義社長)からだと憤慨する。 しかし、総務省や業界は「試験データを出さずに議論にも参加しないのは問題だ」(総務省総合通信基盤局幹部)と首をかしげる。事態がこじれた裏には、高速サービスで先行することで低下傾向にあるシェアを挽回(ばんかい)したいソフトバンク側の事情も透けてみえる。

「TTCに欠陥」

ADSLサービスは既存のメタル回線を利用して高速インターネット接続を可能にするため、電磁波干渉や漏洩などが生じやすく、その影響で他のサービスの品質が著しく劣化しかねない。このため社団法人情報通信技術委員会(TTC)では作業部会を設置し、標準化作業を行ってきた。

「AnnexA・ex」が標準外に

孫社長は (1)国際標準に規定されている「AnnexA・ex」が標準外とされた (2)作業部会の委員長が競合企業の幹部(3)事業者の集まりであり中立的な委員がいない (4)シミュレーションの条件設定が現実離れしている-などの理由から「TTCには致命的な欠陥がある」と指摘。 大幅改革すべきとの動議をTTCに提出した。

TTC標準とは

TTCは総務省の要請により、高速ADSLの干渉を防ぐための技術的検討を行い、「TTC標準」を規定している。 2001年には「JJ-100・01スペクトル管理」を定め、標準システムである「AnnexA」「同C」と強く干渉する伝送方法を制限することにした。

総務省は問題視

ソフトバンクが動議を出した直接の要因は、イー・アクセス(東京都港区)が7月末にTTCに提案したDSLの標準システムの再定義で、ソフトバンクが採用している「AnnexA・ex」が標準外とされ「明確な定義が示されていない」(孫社長)ことだ。イー・アクセスは7月12日に「ソフトバンクの12メガビットADSLサービスは他社のサービスに影響を及ぼす恐れがある」として総務省に意見書を提出したことも背景にある。

NTT東日本、西日本が拒否の恐れ

NTT東日本、西日本が「標準外」を理由に接続を拒否すれば、ソフトバンクの今後のADSL事業は頓挫しかねず、早急に対抗策を打つ必要があった。しかし、TTCや総務省はソフトバンクの姿勢に首をかしげる。

ソフトバンクの電磁波漏洩実験データ

TTC関係者などによると、作業部会は7月中旬、ソフトバンクが提出予定だった電磁波漏洩の実験データをもとに議論することになっていたが、担当者は分析の遅れを理由に1カ月程度の延期を申し入れた。

唐突な行動

TTC内での解決を見守る姿勢を崩さない総務省だが、「TTCの運営に問題があれば議論して改善すればいいし、機密データを開示しろといっているわけではない。電磁波の漏れは他社に迷惑をかけるもので、必要なデータは出してもらわないと困る」(電気通信技術システム課)とソフトバンクの唐突な行動に批判的だ。

ITUの国際標準

より根本的な問題もある。ソフトバンクは「ITU(国際電気通信連合)勧告で国際標準に定められているAnnexAに適合しているから問題がない」と強調するが、標準として羅列された方式がそのまま商用サービスに適用できるわけではない。 標準方式を問題のない実用システムとするためには各国の事情に合わせた「共用基準」を定めなければならない。 複数の標準方式を定めた第3世代携帯電話サービスで、日本は周波数帯が隣接するPHS(簡易型携帯電話システム)との干渉を防ぐ独自の規定を付加しているのもその一例だ。

ブロードバンドのブレーキ役に?

「技術を革新して日本のブロードバンド(広帯域)を進めようとしているのに足を引っ張られている」(孫社長)という被害者意識だけでTTCの議論から逃げるのでなく、議論に参加し問題があればそれを指摘し改善を求めるべきだろう。仮に自社の12メガビットサービスを早急に始めるための方策としてクレーマーに徹する腹積もりだとすれば、ブロードバンドの進展を担うどころかADSL市場のブレーキ役となりかねない。

ヤフーBB シェアじわり挽回 営業教育が急務

ソフトバンクグループが提供するADSLサービス「ヤフーBB」の加入数は7月末で75万2000人。今年になってシェア低下が続き4、5月に20%を割り込んでいたが、市内3分7・5円のIP(インターネットプロトコル)電話サービス「BBフォン」の投入後はじわじわばん回。8月12日に商用サービスを始めた最大毎秒12メガビットの高速サービスでさらに勢いを増しつつある。

会員100万人の目標は今秋にずれ込む

ADSL各社が10メガビット前後の高速サービスを打ち出す中で、是が非でも先行して会員増に結びつけたいところだ。しかし、「2001年中」のはずだった会員100万人の目標は今秋にずれ込む見通し。会員数の目算が外れ、事業計画は練り直しを余儀なくされている。

モデムなどの2カ月無料キットが代理店から送られてきた

会員増を焦る営業の勇み足も表面化した。申し込んだ覚えのないモデムなどの2カ月無料キットが代理店から送られてきたとして各地で問題となっていることに対してソフトバンクは「いろいろな営業方法を試験しており、電話によるサンプル提供もそのひとつ」(社長室)との見解だが、「資料ならと承知したのに大きな箱が送られてきた」という消費者の声は少なくない。 ユーザーサポートの不備で大きなつまずきを経験したソフトバンクだが、法人向け営業で一挙に代理店を増やした現在、営業教育が急務となっている。

イー・アクセス、協調融資(2011年3月)

イー・アクセスのシンジケートローンについての報道です。

イー・モバイルの借入金組み替え(リファイナンス)

イー・アクセスは9日、協調融資(シンジケートローン)と、外貨建て普通社債の発行で1650億円を調達し、子会社であるイー・モバイルの借入金の組み替え(リファイナンス)を行うと発表した。同融資は担保付シニアタームローンで返済期間は5年、社債はドルおよびユーロ建てで7年物。今回のリファイナンスにより、グループの中長期的な財務基盤強化を図る。

【1990年代】世界的な業界再編の動きが加速(島田雄貴)

通信ジャーナリストの島田雄貴が、IT業界・通信業界の歴史を振り返り、特筆すべき事例を紹介します。

世界的な業界再編のうねりが始まる

中小規模の専業メーカーの動き
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、モノリシック・メモリーズ
フェアチャイルド、ナショナル・セミコンダクター

活発化する大手メーカー同士の提携の陰で、中小規模の専業メーカーにとっては、最新の設備と技術に対する巨額の投資を継続することが難しくなってきた。 すでにアメリカではアドバンスト・マイクロ・デバイセズがモノリシック・メモリーズと合併したし、フェアチャイルドはナショナル・セミコンダクターに売却された。

SGS-トムソン・マイクロエレクトロニクス

イタリアのSGSはフランスのトムソンと合併して、ヨーロッパ第二位のSGS-トムソン・マイクロエレクトロニクスとして生まれ変わった。

戦略的協調

一社単独で生き延びるのではなく、よりよきパートナーを見つけ、お互いの得意技術を利用し合う「戦略的協調」によって、来るべき激烈な競争に生き残ろうというわけだ。

大手メーカーの寡占化

1990年代は、これらメーカー間のグローバル・レベルでの競争と協調によって、業界再編の動きが加速されるとともに、大手メーカーの寡占化が進んでいこう。

「超」大手による寡占が進む

世界で10数社程度の「超」大手による寡占が進むものと見られる。

買収、提携、隙間分野に特化

それ以外の中小専業メーカーは、大手グループに買収されたり提携して生き残るか、または大手メーカーの手がけない隙間分野に特化することを余儀なくされよう。